備品が集められてる場所に隠れる

『出入り口まで一気に行きたい所だけど、待ち伏せされてると嫌だしな・・・』
出入り口の近くに今まで使われていた備品が集められてる場所がある。
たぶん2階と3階で使われていたモノだと思う。
1階にある備品はほとんどが以前の場所にそのままあるという感じになっている。

『あそこに身を隠して頃合いを見て出入り口から外に出よう』

注意しながら備品が集められた場所に移動する。
上からは時折物音が聞こえてくる、どうやら僕を捜しながら下りて来ているのか?
それとも追いつめているという恐怖をあおっているのか?

備品を集めてる場所の陰に隠れて息を殺す。
次第に物音は1階に辿り着く。
僕の心臓は今にも飛び出しそうになる、次第に呼吸も早くなってくる。
その時僕の隠れている近くで物音が聞こえた。

(あっちに行ってくれ)
心の中で呟く。
隠れた事で少しの安堵感を感じた僕の足は一気に今までの走り疲れと精神的な疲労でガクガクしている。
(頼む!あっちに行ってくれ!!)
震えで物音をたてない様に注意しながら祈り続ける。

グルルルル

近くで唸り声が聞こえる。
備品の山を探っているのか、山が少し揺れる。
(気づくな、気づくな、気づくな・・・)
心の中で念仏の様に何度も何度も唱える。
そうしていないと、恐怖で叫んでしまいそうになるからだ。

1秒が長く感じる。
自分の呼吸さえも大きな音に感じる。
心臓の鼓動が聞こえてるんじゃないかと不安になる。

次第に物音は遠くへ移動して。
『はぁ・・・』
どっと疲れが出てくる。
だけどまだ安心はできない!
ここから今度は気づかれずに出入り口まで移動しなければいけないからだ。
意識を集中させ、心の中で気合いを入れた。
(まだ動ける!)
そう自分に言い聞かせ、様子を伺いながら隠れていた場所から出る事に。
1度深呼吸をして。
『よし!』
と小さく呟く。

ゆっくりと匍匐前進に近い状態まで体をかがめながら移動し始めたその時

ガタン、ガラガラガラ

大きな音ともに積み上げていた備品の山が崩れだす。
『うわぁ!!』

僕は備品の山に埋もれて動けなくなってしまった。
『助けて』
近くに居るはずの追っ手にすがるしかなかった僕は大きな声で叫ぶ。
『助けて!』

近くで足音が聞こえる。
(助かった後の事なんて知らない、この身動きが取れない状況から抜け出せるなら後は逃げる事も少なからずあるだろう)
そんな事を考えながら近づく足音を待っていると。

ゴソゴソ・・・

『ん?』

ゴソゴソ・・・

カメラバッグを引っ張られてる?
『ちょ、助けてよ』
声をかけるが追っ手は僕の事など気にもせず荷物を引っ張る。

ガタン!!

音とともに無理矢理カメラバッグを奪われてしまう、奪われると同時にさらに備品の山が崩れてさらに動けなくなる。
『お願いだから助けてよ!』
僕は出せるだけの大声で叫ぶ。
だけど無情にも足音は遠ざかっていく。

・・・
・・・・
・・・・・

備品の山で動けない。
『お〜い、誰かぁ・・・
・・・
いませんよね?』
僕は一人廃ビルの中に閉じ込められて・・・
▶終わり