(10)2013年11月15日

写真が届かなくなってからも定期的に僕は同じ事を繰り返していた。
もしかすると何か2014年に起きたのかもしれない、そう思っていたから。
いや、そう思いたかったのかもしれない。
突然始まった不思議な出来事、同じように突然終わってしまっても不思議じゃない。
だけど心のどこかで・・・。
何も無く途切れるとは思えなかった、未来から届く写真はとても楽しんで写真を撮っている事が伝わってきていたから。
あれからずっと考えていた、あの未来の写真を撮っていた人物と会う方法は無いものかと。
そこで一つの方法を思いついた、ただこれは賭けでしかない。
その方法はオークションにこのカメラを出品する。
凄く悩んだ結果だった、もしかするとまた突然未来と繋がるんじゃないかという気がして今まで大事に使ってきていたから。
オークションに出そうと思った理由は、このカメラでしか未来と繋がっていなかったからだ。
一度別のカメラで撮った写真が未来に届くかと試したけれど、その時は届いていなかった。
つまり未来と繋がっていたのはこのカメラだけ、このカメラじゃないといけなかった。
どうしてこのカメラじゃないといけなかったのか?そう考えた時一つの仮説が思い浮かんだ。
その仮説とは、このカメラを手放して次の持ち主の手に渡る事。
手放す事で次の持ち主が現れる、その持ち主が撮った写真が過去の自分に届いていたとしたら?
だけど手放すと言ってもショップに売ってしまうと分からなくなってしまう、次の持ち主を知る方法はただ一つしかない。
オークションに出して直接次の持ち主となる落札者と取引することしか。
『ここで考えていても仕方ないよな』
使い込んできたカメラを手に呟く。
手放せば本当に終わってしまうかもしれない。
そんな不安を抱えながら僕はこの日オークションに未来と繋がっていた大事なカメラを出品した。