(6)2013年12月1日

『婆や早く早く』
夜の食事を済ませてカメラをパソコンに接続する。
今日も私はいつも通りの小さい世界を写していた。
その写真を確認していた時に見つけた写真があった。
そこに写されていたのは滝が凍りついて光が差し込み何とも言えない神秘的な写真。
滝の近くなのだろうか、雪が積もった中から出てきた小さい植物などが数点。
そしてメッセージが書かれている写真が1枚。
『お嬢様、もしかして?』
興味津津で駆けつけて来た。
『きたよ、2010年からの写真が、メッセージもちゃんとついてる』
『はぁ、はぁ・・・ちょっと待って下さいね。急ぐと老体に響きますから・・・』
婆やは数回深呼吸をして整える。
『どれどれ、ほほう・・・これはまた凄いですね。滝が凍っているじゃないですか』
婆やは食い入るようにパソコンに表示された写真を見ている。
『私も見てみたいな』
『そうですね、婆やももう少し若ければお嬢様と一緒にこんな景色を見てみたいですね』

それからと言うもの私たちと2010年の人との不思議なやり取りが始まりました。
私は滅多に家から出る事はできなかったので、いつもの小さな世界や好きな小物などを撮りながら、メッセージと一緒にカメラに残す。
時折父に無理を言って婆やと出かける事を許可してもらい、二人で何を撮るか相談しながら撮って2010年の人へと届けていました。
すると2010年から私の知らない世界が届けられてくる。
婆やと二人して2010年の過去からの写真を楽しんでいました。