第一章 合せ鏡


『ねぇ、莉杞(りこ)知ってる?』
学校からの帰り道、沙織が聞いてきた。
『何を?』
突然の問いかけに私は何が何だか分からない。
『合せ鏡』
沙織はそう言うと一呼吸おいて続けた。
『夜中の2時ぴったりに2つの鏡を向かい合わせるの、そうするとね未来が見えるって話なんだよ』
よくある都市伝説の一つか、そう思うと自然とため息が漏れた。
『あのね沙織、そんなの迷信だからやってもなんも起こらないよ』
呆れ顔の私に沙織は。
『やってみないと分からないじゃん!それにね、ただ合せ鏡にすれば良い訳じゃないよ、さすがにそれぐらい私でも分かるよ』
沙織はちょっと拗ねた様に頬を膨らませる。
あ、機嫌損ねちゃった。
『ん?鏡を合わせる以外に何かあるの?』
さっきの沙織の言葉に疑問を覚えたので質問してみると。
『ふふ〜ん、気になるんだぁ』
なんて小生意気な顔するんだこいつは(怒)
『へぇ〜、合せ鏡に必要な儀式が気になるんだぁ』
ニタァと沙織の口元が緩む、まるでこれから悪魔のささやきでも聞かせようかと言わんばかりの表情だ。
『だ・け・ど、こればかりは教えられないんだよね。なんせ一番重要な事だからね』
勝ち誇った様に沙織が私にとどめを刺した。
『べ、別に知らなくて良いわよ、私は興味無いし。せいぜいやるなら気をつけた方が良いよ、だってそんな事やったらどんな結果になるか分からないしねぇ』
少し怖がらせる感じに沙織に反撃する。
そんな馬鹿な事を言い合いながら家路についた。
まさか後日あんな事になるとはお互い思いもせずに・・・