いつも莉杞は朝が遅い、だから今までは莉杞から連絡が無いときは一人で学校に行き、図書室で時間を過ごしていた。
だけど不安で潰れそうになる気持ちを吹き飛ばすため、この数日莉杞と一緒に学校へ行くことにしている、そうすることで自分が自分であるという確認にもなっていたからだ。
『莉杞、おはよう』
沙織はドアを開け大きな声で呼んだ。
ぱたぱたと足音が聞こえて。
『沙織ちゃんおはよう、もう少し待ってね遅いからあの子。毎朝急かしているんだけどね、相変わらずで』
莉杞の母が苦笑いを浮かべていた。
『大丈夫!待つのは想定内だから』
『さすが沙織ちゃん』
いつも笑顔で元気をくれる。
『そう言えば、お母さんから連絡はあった?』
『それが・・・まだなんです』
『そうなの、珍しいわね連絡が無いのって』
『気分屋ですから、旅行に出て何かに興味を持って没頭してるのかも?』
『う〜ん、ありそうで怖いな』
母親同士も仲が良く、たまに二人して旅行に出かけたりしていた程だ。
娘の事などすっかり忘れて二人楽しんで帰ってくる、本当困った母親達である。
『ほら莉杞、早くしなさい!沙織ちゃん待ってるでしょう』
『ちょ、ちょっと待って。あともう少しだから』
奥から莉杞の慌ただしい声が聞こえてきた。
『本当にごめんねいつも』
『あれで莉杞だから』
二人して笑っていると、バタバタと騒々しい足音が聞こえてきた。
『ごめん、沙織おはよう』
『莉杞おはよう』
『はいはい、二人ともこれ以上遅くならないうちに学校へ行きなさい』
『いってきます』
二人で元気よく飛び出していった。