同窓会
「お、久しぶり。元気してた?」
そんな言葉があちこちで聞かれた。
今日は同窓会、もう10年以上僕はみんなとは会っていなかった。
「何だおまえら、まだつるんでるのか?」
「腐れ縁ってやつだな」
昔の事に思いをはせる。
数人で真面目にバカなことをやってた話、当時の恋愛話、恋人同士だった二人、いろんな思いがここに蘇ってきていた。
もう戻る事も出来ないあの頃に。
一瞬の輝きを放っていたであろうあの頃に。
そんな時だった。
「何暗い顔してんだよ、せっかくの同窓会なんだし楽しめよ」
壁際に居た僕に声をかけてきた。
その男は壁に背を預けて僕に話しかける。
「誰?って感じで見た目が変わった奴もいるし、あの頃のままの奴もいるよな」
「そうだね」
「俺さ、いつかお前に会いに行こうと思ってたんだ」
「へー、何でまた」
「あの時の事ずっと悔やんでたんだよ」
「終わった事だから気にせず前に進めば良かったのに」
「そう思おうとした時もあったけど、無理だった」
「昔の話だよ」
「あの頃さ、両親の喧嘩も多くて、成績も上がらなくて、むしゃくしゃしてたんだ。
それをお前に・・・」
「だから昔の話だって」
「もし、戻れるなら、やり直せるなら・・・あんな事にはならない様に・・・」
僕は隣を向く事も無く、ぼ~とみんなを見ていた。
「追いつめてしまったのは俺のせいだ、もう遅い事は分ってる、だけど・・・ごめんなさい」
僕は彼には目を向ける事は無かった。
彼が当時悩んでた事も知ってたし、だけど何もできなかった事も自分で分かってる。
その捌け口になってた事も分かってる。
そして、あの結末を迎える事になった・・・
「気にしてないよ。それに本当に謝らなければいけないのは僕のほうだからね」
彼に向き直した、そこにはあの結末を迎えてしまった時の彼がいた。
だけど僕は後悔をしていない、なぜならあの時そうする以外方法が無かったのだから。
「だって、君が死んだのはあの時僕が突き落としたから」