おまけ

路地裏をいつもの様にパトロール。
そう、ここは俺様の縄張り。
俺様が居るからここら一帯は秩序が守られてると言える。

ん?俺様が誰かって?
俺様はここら一帯を治めるケルベロス様だ!

今日もパトロールを終えて今からあれをとりに行く途中なわけよ。

あれって何かって?
着いたら教えてやるよ。
まぁ、そんなに知りたいなら少しだけヒントをやるよ。
あれはな、俺様の強靭な顎を持ってしても咬み砕く事ができない代物でな。
ほのかに甘いミルクというかバニラの香りがするのさ。

リズミカルな足取りであれを取りに行くと・・・

『ん?』

見慣れない奴があれの隠し場所の辺りで何かしている様子。
俺様は少し離れた場所からじっとその様子を伺う、奴はあれを奪おうとしてる様子もなくその場を立ち去って行った。

『気のせいか』

俺様はあれを取りに奴が去った後の隠し場所まで来ると、隠し場所を覗き込む。

!!

『無い!』
辺りを見回すと奴の後ろ姿が確認できた。
まだそれほど離れていない。
『あの野郎、俺様の大事なあれを盗むとはいい度胸してるじゃねぇか!』
俺様は奴の後を気づかれない様に間隔をあけて尾行する。
取り返す機会をうかがってる訳だ。

すると奴は後ろも振り返らず、俺様の気配を感じたのか歩くスピードを速める。

『ほほう、俺様の気配に気づくとはたいした奴だな』
おっと、感心してる場合じゃない。
下手すると逃げ出す奴もいるから離されない様に俺様もスピードを上げる。

『さて、どこで取り返すかが問題だな』
そんな事を考えながら後を追っていると突然奴は駆け出しやがった。

『あの野郎!大人しく返せば許してやったのに!!』
俺様から逃げられると思ってるとは、人間の分際で舐めんなよ。

『返せやゴラァ!!俺様の骨!!』

こうして俺様の狩りが始まった。
▶終わり