第二章 電話に出る

恐る恐る電話に出てみる事にした。
『も、もしもし・・・』
初めて携帯に出た事と、相手が誰なのか分からない事で緊張してしまった。

『・・・』

返事がない。
『もしもし?』
もう一度問いかけてみると。
『助けて!』
聞こえてきたのは女性の声と思いもかけない返事。
『え!
助けてって??』
電話の相手は周りを警戒している様子で。
『閉じ込められたの・・・
・・・
いきなり車に押し込まれて・・・
・・・
気がついたら場所も分からない所に閉じ込められてて・・・』
途切れ途切れで電波が悪いのか?
『そこから何か見える?』
突然の電話と内容にパニックになりそうな頭を落ち着かせながら、相手からの情報を引き出そうとする。
もしかすると悪戯かも知れない、だけど違うかも知れない。
それも確かめる必要があり相手の出方を待つ。

しばらくすると。
『何も見えない、狭い所、周りも静か』
『それだけじゃ、分からないよ。
警察に電話するにしてもこれじゃ探せないと思うけど』
電話の相手にそう伝える。
あまりにも情報が無さ過ぎて自分には何がなんだか分からない。
もし本当だとしても警察に説明もできない。
『あ!
警察に電話してみたら?』
そうなんだよ、これが一番早いじゃないかと思って電話の相手に伝えると。
『無理、相手にされない』
(そうだよなぁ、この情報量じゃ悪戯と思うわな)
そんな事を思いながらどうするか考えていると。
突然電話が”プツ”っと切れた。
『何なんだ』
液晶画面を見ながら、先ほどの電話が悪戯なのか、本当だったのか考えてみる。
『演技にしては緊迫してたんだよな』
そんな事を呟きながらハンバーガーを一気に食べると店を後にした。