(1)2010年11月24日
今、机の上に1枚の写真がある。
このたった1枚の写真は何を意味しているのだろうか?
この時の僕はまだ知る由もなかった。
僕はいつもカメラを持ち歩いている。
別にカメラマンって訳じゃない、ただ日頃から何気ない風景を切り取っているだけ。
まぁこういうと聞こえは良いが写真の腕前は・・・である。
その日は仕事休みでカメラをぶら下げて散歩をしていた。
ミラーレスと呼ばれる一眼タイプのカメラだ。
便利になったものである、一昔前ならフイルムを現像しないといけなかったが、今じゃ部屋でRAW現像する事が簡単にできるのだから。
いろんな風景を撮っていく。
僕はこの時が一番好きだ、その一瞬を切り抜く。
何も考えない、狙ってる訳でもない、ただ無心で今目の前に広がるその一瞬をカメラで切り取っていく。
一筋の光が差し込んでいる場面、太陽に向かってアスファルトから顔を出している名も無い花達(本当はちゃんと名前があるんだろうけど雑草として片付けられる花達)、僕がカメラで撮ってるんじゃない、そう言った場面や風景などが撮らせてくれるんだ。
そうして撮ってきたモノをパソコンに取り込みRAW現像していく。
そのまま現像するときもあれば、露出やホワイトバランスを調整して作り込む事もある。
単なるデータでしかないモノを写真という形にしていくんだ。
納得のいく事もあれば、撮ってきた全部が納得いかないときもある。
一瞬だけの無の時間、そして思い通りにならないその一瞬が僕をいろんな物から解放してくれる。
休日を久しぶりにカメラに費やし、自室で現像をしていた時に見つけた1枚。
『あれ、これ何処だろう?』
1枚だけ見覚えの無い景色が写っていた。
街をぶらぶらしていたのでこの景色が写せるはずがなかった。
その一枚だけ違う写真はどこかの庭なんだろうか?
よく手入れがされている昔ながらの日本庭園で奥の方に塀らしきものが写っている。
塀らしきものが写っているから”庭”なんじゃないかと思った訳で、もしかすると違うのかもしれない。
『何でこんな写真があるんだろう?』
ディスプレイに映し出されたその写真をとりあえずプリントアウトする。
この時撮った覚えがなく不思議に思っていて確認していなかったが、Exifをちゃんと見ておくべきだった。