(3)2010年11月28日

あれから写真を撮る度に必ずと言っていい程見覚えのない写真が紛れ込んでいる。
Exifを確認した時はさすがに吃驚したものだ。
何故なら未来の写真だったからだ。
『2013年か・・・』
そう、知らない写真は今から3年後をExifに表示していた。
『なんでこんな写真が混ざってるんだろう?』
カメラを注意深く見て見るが、今まで自分が使ってきたカメラに違いなかった。
新品購入したカメラだから以前誰かが使っていた訳じゃない、まして未来に行った記憶もない。
『う〜ん・・・何でだろう?』
不思議には思っていたけれど、気味が悪いとは何故か思わなかった。
『撮ってる写真は庭、だよな?だとすると広いなぁ・・・』
自分の部屋を見回して溜息をつく。
『この部屋が何部屋分になるんだろう・・・』
呟きながら同時に寂しさを覚えてくる。
写真はお世辞にも上手いとは言えない、どちらかというと初心者で写真を撮り始めたばかりの印象を受ける。
たぶん写真を撮る事が今は物凄く楽しい時期なんだろう。
今に自分の表現方法を探し始めるようになり、壁にぶつかるんだろうなぁ、なんて事を写真を見ながら考えていた。
『こんな時期があったよなぁ、ただ写真を撮る事が楽しかった時期が』
今も写真を撮る事は好きだ、だけど以前みたいにただたんに撮りまくってる訳じゃなくなっていた。
時には被写体を何も考えずに、時には被写体をどう撮れば良いか何度も構図を変えて何枚も撮ったり、現像一つ撮っても弄ったりそのままだったり。
狙うというのだろうか?一瞬をひたすら待っている事もある。
そんな事を考えながらこの写真が何処の誰が撮ったものなのか知りたくなってきた。
『2013年か・・・分かるわけないよなぁ。まさか自分が撮ったなんて事はないだろうし・・・こんな庭のある豪邸に住む事はねぇ・・・』
未来に撮られた写真から見つけるのは難しかった。
それ以前にたとえ見つけたとしてもどうやって話せば良いのやら?
『2013年のこの写真の撮影者と連絡が取れないかな?つか、自分の写真も向こうに行ってるんだろうか?』
そう思うと一つ試してみたくなった。

『これでよし!』
カメラを三脚にセットして、最初に届いていた写真にメッセージを書き込んだ。

2013年のあなたへ
はじめまして、こちらは今2010年です
あなたの撮った写真がこちらに何故か届いています
もしかして、あなたの所へもこちらの写真が届いているのでしょうか?

2013年にこのメッセージが届けられるとは言い切れない。
こんな事をしてバカだとは自分でも思うが、ワクワクしてしまう。
『さて、返事がくるだろうか?』
こっちからの写真があちらに届いていればの話なんだけれど・・・
後は待つだけだな。