二人は一緒に学校へと向かう、何気ない会話をしながら、その中からどちらかを見極める必要があった。
だけど不自然な所は無い、もう1人の沙織は眠りについているのだろうか?
そうこうしていると二人は学校に着く、下駄箱で莉杞は沙織と別れ教室へと向かう。
沙織はいつも通り図書室へと向かっていった。
『分かんないよこれじゃ・・・』
莉杞は席に座ると一人呟く。
せめてどちらか分かれば話もしやすいのに、迂闊に会話もできないでいた。
その後授業中も休み時間も注意深く沙織を見ていたが全く分からない。
結局その日は何事も無く過ぎて、逆に何事も無いことが莉杞を不安にさせていた。
その日は本当に何事も無く終わりをむかえようとしていた、沙織は莉杞の知っている沙織で何も怪しい所も無く、いつもの元気な沙織だった。
学校も無事に終わり莉杞と沙織はいつもの様に家路に着いた。
昨日の事が夢だったかの様に思えてしまうぐらいに平和だった。
『また明日ね』
そう言って沙織は笑顔で家に向かう、いつもの帰り道、いつもの分かれる場所。
沙織の背中を見つめながら、学校での行動を振り返る。
今日の沙織は何もおかしな点が無かった、そういつもの変わらぬ沙織だった。
監視をされる様な素振りも無く、ゾッとする目つきも無かった。
たぶん今日の沙織は本来の沙織だったんだろう、莉杞はそう思うことにした。
沙織が見えなくなってから莉杞もまた帰路についた。